オナカのチカラ

腸活を支える腸内フローラを学ぼう

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超生命体

マイクロバイオーム

超生命体とは

細菌の遺伝子学者としてノーベル生理・医学賞を受賞した Lederberg博士は2000年に宿主と共生生物はゲノム(遺伝子情報全体)を一つにした超生命体(superorganism) *(1)として考えるべきである、という説を提唱しました。

私たちの口腔・咽頭・呼吸器、泌尿生殖器、胃・腸などの「身体の内側」を含めたあらゆる体表面には、細菌(常在菌)が共生しています。

*常在菌:人体の細菌は「常在菌」と呼ばれ、コレラ菌など一過的に身体に侵入して、感染症を引き起こす病原菌と区別される。常在菌は病原性を示さず、私たちの誕生とともに体に生息し始め、一生を共にする。常在菌叢はヒトの健康と密接に関係する。例えば、腸内細菌叢は食品成分を代謝して、ビタミンなどの栄養素をヒトに供給したり、ヒト細胞の成熟化に必須であったり、感染防御に働くなど、元来は宿主の恒常性や健康維持に不可欠な存在。一方で、その破綻である細菌叢の乱れは様々な病気に直結する。*(2)

電子顕微鏡で腸の中を覗くと、多様な腸内細菌叢が、まるで植物が群生している「花畑(flora)」のようにみえることから、特に腸内細菌叢のことを『腸内フローラ』と呼ぶようになりました。

ヒトの身体の細胞は37.2兆個*(3)と言われていますが、数の上ではヒトの身体に共生している常在菌の数の方が圧倒的に多く、また、腸内細菌叢全体の遺伝子数はヒトの 100 倍の約 3, 000, 000*(4)とも言われています。つまり、我々人間は「ヒトと常在菌が高度に絡み合った超生命体(スーパーオーガニズム:superorganism)」とも考えられます。

特に腸内常在菌は、私たちの健康や生命機能を維持しているともいわれています。人間の免疫力の約7割は腸で作られ、その多くが、多様な腸内常在菌の働きの助けでできていると考えられているからです。

出典:
*(1) “Infectious History” Science, 288, 287 (2000).
*(2) 日経サイエンス2012. 10. 50-57
*(3) “An estimation of the number of cells in the human body”Ann Hum Biol. 40(6):463−471(2013)
*(4) 「腸内細菌叢の機能と創薬応用の可能性について」ファルマシア53(11):1091

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