短鎖脂肪酸とは?
腸内フローラが産み出す短鎖脂肪酸は、腸内環境を健全に保つ上で
重要な働きを持つことから、大変注目されています。
ここでは、短鎖脂肪酸について、もう少し詳しくご説明します。
腸内フローラが産み出す
短鎖脂肪酸
酪酸
プロピオン酸
酢酸
など
●全身のエネルギー源
・腸・肝臓・腎臓・筋肉など
●免疫機能の調整
●代謝機能の調整
など
短鎖脂肪酸とは、腸内細菌が産み出す代謝物の一種で、代表的なものとして 酪酸、プロピオン酸、酢酸などがあります。
腸内でつくられた短鎖脂肪酸の役割は多岐に渡ります。 大腸のエネルギー源となり、ぜん動運動を促進します。
腸での水分・ミネラルの吸収や、 腸を保護する粘液分泌のための エネルギーとしても利用されます。
また、短鎖脂肪酸の一部は、大腸の粘膜から吸収され、血流に乗って 全身に運ばれて、肝臓、腎臓、筋肉などで エネルギー源として使われます。
短鎖脂肪酸は、
腸内フローラが産み出してくれる、
私たちに欠かすことができない栄養素とも言えます。
短鎖脂肪酸のさまざまな働き
短鎖脂肪酸は腸や体のエネルギー源として大切なだけでなく、 他にも健康維持のために欠かせない、さまざまな役割を果たしています。
- 大腸のぜん動運動を促進し、便通を促す
- 腸での水分・ミネラルの吸収や、
腸を保護する粘液の分泌のためのエネルギーとなる - 肝臓、腎臓、筋肉など体のエネルギー源として使われる
など
- 免疫が働きすぎないように制御する「制御型T細胞」という免疫細胞を増やす
- 腸管粘膜を修復・保護し腸内のバリア機能を維持、病原菌などの侵入を防ぐ
- 腸内を弱酸性に保ち、有害な菌の増殖や毒素の産生を抑える
- 腸の炎症や、大腸がんの発症を抑える
など
- 自律神経と連動して、体温や心拍数など全身の状態を一定に保つよう調節する
- ホルモンを分泌させ、インスリンの分泌を正常化して食後血糖値の急上昇を抑える
- ホルモンが脳に作用することで、過食を抑える
- コレステロールの合成や吸収を抑える
- 脂肪の蓄積を抑える
など
どうしたら短鎖脂肪酸を産み出せるか
短鎖脂肪酸は腸内細菌が産み出しますが、そのために必要なのが、
小腸で消化・吸収されずに腸内細菌に届く、難消化性の食物成分です。
腸内細菌は、この難消化性食物成分を
食べ物(エサ)として取り込み、発酵
させて、短鎖脂肪酸をつくり出すのです。
この「難消化性の食物成分」として代表的なのは食物繊維ですが、他にもオリゴ糖やレジスタントスターチなどさまざまな種類があります。
日本の研究者の間では、これらは総称して「ルミナコイド」や「発酵性食物繊維」と呼ばれています。
腸内に生息する多様な腸内細菌に食べ物を与えて、 短鎖脂肪酸が十分つくれるようにするためには、 1種類に偏らず、特性の異なる多様なルミナコイドの摂取が必要です。