オナカのチカラ

腸活を支える腸内フローラを学ぼう

オナカのチカラ

2024年最新「花粉症」学。
免疫力を“鍛える”と、もっと悪くなる⁉

ルミナコイド

2024年最新「花粉症」学。
免疫力を“鍛える”と、もっと悪くなる⁉

「花粉症」学。免疫力を“鍛える”と、もっと悪くなる⁉

はじめに

暖冬の2024年、都市近郊のスギやヒノキの山々は、たわわに実る茶褐色の花々で満開。その花粉は風に乗り、全山が染まるほど。しかしながら桜の満開の花見とは全く異なり、多くの人が戦慄とともに山を忌避する、長~い花粉症シーズンの始まりである。

風に乗って雄花から放たれるスギ花粉は、子孫を残すための植物としての生存のための営み。スギが、人間の花粉症の責任を負う理由はない。その責任は、大量にスギやヒノキを植えた人間の側にこそある。過ぎたるは人工林なのである。 スギやヒノキなど、さまざまなアレルギー反応は、特定の物質を身体に入れまいとする免疫反応によって引き起こされる。春先のスギやヒノキ、秋のブタクサ、冬以外に飛ぶカモガヤなどのイネ科の花粉、通年で賑わうハウスダストやダニ

花粉症対策の都市伝説

これらへの対策は、皆さんご存じ通り。広範囲に飛散するスギやヒノキの花粉は、あらゆる手を尽くして避けるが勝ち。飛散する範囲が限定的なイネ科やブタクサであれば、河川敷や草地の多い公園などに近寄らない。通年のハウスダストやダニ対策は、小まめな換気や掃除、乾燥期の加湿といった「ディフェンス」が打ち手とされている。 しかし不思議なことに、風邪や感染症対策と混同し“免疫を鍛えたら、アレルギーだって防げる!”という都市伝説は後を絶たない……。お茶、アロマテラピー、ヨーグルトなどのお馴染みの顔触れである。こうした都市伝説の情報は、増えてこそいる気がするが、日本のアレルギー反応の方々が激減したという印象は、不勉強ながら得られていない。

免疫細胞は、病原菌などに攻撃を行う身体に備えられた大切な機能である。しかし人によって、免疫細胞が病原菌などではないものまで攻撃してしまうことがある。この過剰な攻撃が続き炎症が慢性した状態が、アレルギー反応なのだ。免疫を鍛えることは、アレルギー反応の解決には必ずしもならず、むしろ逆効果にも繋がりかねないのだ。

免疫の暴走を鎮め、アレルギーを抑える鍵は、酪酸!

過剰な免疫細胞の働きを抑える役割もまた、免疫細胞が担っていることが近年知られてきた。それが「Tレグ(制御性T細胞)」である。Tレグが、暴走する免疫細胞にブレーキを効かせるように働きかけ、アレルギー反応や自己免疫疾患を抑えることも分かってきた。

Tレグを作り出すのは、腸内細菌の酪酸菌が生み出す、酪酸に含まる物質といわれる。腸内で作られた酪酸は、腸壁を通して体内に取り込まれ、免疫細胞に届けられることでTレグに変化するという。アレルギー反応に悩まされる人が減らない真の理由は、体内でTレグを生み出す働きが弱くなっている可能性が指摘されているのだ。

すでにお気づきのように、Tレグを増やすには、酪酸菌を活性化させる必要がある。酪酸菌を活性化させるには、そのエサを増やす。この酪酸菌のエサこそ、最近よく目にする、食物繊維やレジスタントスターチ、オリゴ糖、イヌリンといった“腸活”栄養素たちだ。

腸内細菌の産生する酪酸によるTレグ(制御性T細胞)の働き

腸内細菌の産生する酪酸によるTレグ(制御性T細胞)の働き

多様性とバランスに富んだ腸内細菌叢のための「ルミナコイド」

こうした“腸活”栄養素は、酪酸菌が生み出す酪酸のみならず、酪酸やプロピオン酸といった身体に有用な「短鎖脂肪酸」を作る腸内細菌叢のエサにもなる。ここで大切なのは、特定の“有用菌”だけでなく、多様性とバランスに富んだ腸内細菌叢を守り育てる点だ。

40兆個、1000種類と言われる腸内細菌から構成される腸内細菌叢は、とても複雑に相互に関連し合って共生している。複雑に絡み合った地球の生態系と同様、身勝手な安易な解釈で、その多様性とバランスを崩してはならない。

とはいえ、現代社会では、抗生剤の多用、過剰なストレスや細菌汚染、食中毒、過度な偏食、過食や過飲などによって、本来の腸内細菌叢の多様性とバランスが失われつつあるという。地球の環境汚染は、同時に形を少し変えて、私たちの身体の内部でも進行している。

こうした考え方に基づき、最近では“腸活”栄養素を「ルミナコイド」という総称で呼ぶようになってきた(最近目にする「発酵性食物繊維」も、実はルミナコイドの俗称である。ちなみに、この“発酵性”は、腸内細菌が分解⦅=発酵⦆可能な食物繊維たちを意味し、いわゆる発酵食品ではない)。多様性に富み、バランスが取れた腸内環境を守り育てるのは、他の誰でもない“私”なのである。

記事監修

皮膚科医、内科医、梅花大学客員教授。
都内2カ所のクリニック勤務の傍ら、医療の観点から美容と健康を追求し、
美しく生きるための啓蒙活動を行う「キレイをつくる医師」として、
医療現場だけでなく、さまざまなメディアでも活躍している。

構成・文/大田原 透

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